こんにちは、
引き続き断糖高脂質食をぼちぼち継続中のみりりっこです。
食生活ではMCTオイルも適量ならお腹を下すこともなくなりましたし、生クリームやグラスフェッドバターも恐ろしい量を消費する日々を送っております。
という風に、食用油脂とは仲良しな食生活を送っておりますが、今回は肌の外側に使う油について。
身体にとっても必要不可欠な『油』ですが、身体の中だけでなく『外側』、つまり『皮膚』にとっても必要不可欠な存在です。
断糖高脂質食は単に体脂肪の減少で痩せるだけでなく、体内炎症も改善していくので、最終目標は化粧品を使わなくても美肌を保てること。
例えば金森先生なんて肥満で不健康だった状態から、今や50代男性とは思えない体型と美肌の持ち主に変貌しているし。
とはいえ、私などはまだまだ質的栄養失調も改善の途上にあるので、最低限は外側から肌を保護するものが必要です。
私自身スキンケアコスメをフルで使っていた頃に比べれば、今は必要最低限で安価な物のみで済んでいますが、それでも乾燥の厳しい冬になると、あちこちカサカサで肌荒れに悩まされています。
肌の表面は分泌された皮脂によって守られていますが、何らかの要因で不足すればたちまち肌が乾燥し、荒れる原因に。
また肌に使う化粧品に含まれる油の質が悪かったり、食事で摂取する良質な脂質が少なく、逆に糖質やオメガ6脂肪酸(炎症を促進する)の摂取量が多かったりすれば、肌に対してもダメージを与えます。
食べる油には、しっかり摂るべき油、控えるべき油、絶対に摂りたくない油など、様々な種類があり、その性質や役割も様々なのですが、それは肌に供給する油も同様なのです。
肌に対しては、外側からも内側からも、油の質に注意を払う必要があります。
スキンケアに使う油で大事なのは『安定性』。
食事でも取るべき脂質の種類やバランスは非常に大事なのですが、肌に塗るオイルも何でも良い訳ではありません。
化粧品にも、実に様々な種類の油が配合されています。
オイル単体でも、無印のピュアオイルシリーズのように、化粧品向けに精製された油も色々ありますね。
化粧品用の油は食用油脂と違い、精製度が高いもの程グレードが上がります。
(お値段も上がります)
例えば食用のオリーブオイルなんかは、精製しすぎてしまえばせっかくの風味がなくなってしまいますが、逆に精製度の低い食用のものを肌に使えば、その風味の元となる不純物が刺激を与える原因になることも。
それに食用油の大半は不飽和脂肪酸が多く酸化しやすいので、紫外線が当たりやすい肌や髪に塗れば酸化して過酸化脂質が生成され、老化の元にもなります。
食用油の中で酸化リスクが低いのは、安定性が高く酸化しにくい『飽和脂肪酸』が大半のココナッツオイル位でしょうか。
なのでドラッグストアなどに売っている化粧品グレードのオリーブオイルは透明で臭いもほとんどしないように、不純物が取り除かれているのです。
また石油が原料のワセリンも、黄色ワセリンのように精製度の低いものほど安価です。
ワセリンは石油に含まれる炭化水素類を精製して作られたもので、精製度が低ければ不純物も多いので、肌が弱い人には刺激になることもあります。
ワセリンは安価な黄色ワセリンから、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトの順にどんどん純度もお値段も高くなっていきますが、サンホワイトレベルになると徹底的に不純物が取り除かれているので、紫外線による酸化もしにくく非常に安定しています。
ただしサンホワイトのように安定している油脂ほど、固くなります。
使い過ぎるとベッタベタになり、見た目的にもよろしくありません。
固い分、肌への浸透性は低く、肌の保護効果のみになるので、用途によって使い分けられる知識があると良いですね。
安定性=酸化しにくさ
化粧品に使われる油をざっくり分けると主に3種類。
安定性が低い順に並べると、
油脂→エステル類→炭化水素油の順番になります。
『油脂』で代表的なオイル
- オリーブオイル
- スウィートアーモンドオイル
- 馬油
- マカデミアナッツオイル
- ひまし油
『エステル類』で代表的なオイル
- ホホバオイル
- ミツロウ
『炭化水素油』で代表的なオイル
- 白色ワセリン
- サンホワイトやプロペト
- スクワランオイル
- ミネラルオイル(ベビーオイルなど)
このうち3つのうち、不安定(酸化しやすい)なのは『油脂』にあたります。
ちなみに食用とされるのも油脂のみです。
エステル類や炭化水素油は安定性が高い=分解されにくい=体内で分解できないので食用に向きません。
油脂は植物や動物が生体内で作り出すオイルで、グリセリンに3種の脂肪酸が結合してできています。
もちろん人間の体内でも作られています。
この組み合わせは膨大にあるので、油脂にも様々な種類が生まれるわけです。
そして断糖高脂質食をやっていればおなじみですが、脂肪酸には『飽和脂肪酸』と『不飽和脂肪酸』がありますね。
脂肪酸は通常炭素原子が1本の手で鎖のようにつながっていますが、その炭素同士のつながりに2重結合部分を持つのが不飽和脂肪酸です。
二重結合部分は不安定で、ぐにゃぐにゃ曲がりやすく、紫外線や熱などにより簡単に結合が切れて酸化しやすい性質があります。
二重結合部分を持たない飽和脂肪酸が結合が安定しているために常温でも固いのに対し、不飽和脂肪酸は不安定な二重結合部分が多い程、寒くてもサラサラした液状になります。
不飽和脂肪酸の二重結合は多ければ多いほど酸化しやすくなるので、体内では呼吸で取り入れた酸素と結合して『不飽和脂肪酸の自動酸化』を引き起こし、肌や髪に塗られた油脂は紫外線などの影響で酸化します。
いずれも身体に有害な『過酸化脂質』を生じやすくなります。
少なくとも不飽和脂肪酸の多い油脂を肌や髪に塗ったまま、日光に当たるのは避けたいもの。
朝の使用には向かないということですね。
三石巌先生が、不飽和脂肪酸の自動酸化を防ぐ『ビタミンE』の摂取を推奨されているのもそのせいですね。
私自身、オメガ3脂肪酸の摂取量を上げるために鯖缶やフィッシュオイルをせっせと摂っていますが、同時にビタミンEサプリも欠かさないようにしています。
不飽和脂肪酸の中でもオリーブオイルに多く含まれるオレイン酸は二重結合が1か所のみの一価不飽和脂肪酸なので、比較的安定しています。
そして二重結合を含まない飽和脂肪酸がより安定していることは言うまでもありません。
そもそも油脂ではなく、脂肪酸を含まない炭化水素油も酸化する要素がないために同様です。
酸化しにくい飽和脂肪酸や炭化水素油がスキンケアにベストかというと、そうでもない
不飽和脂肪酸は酸化しやすく、炭化水素油や飽和脂肪酸は酸化しにくいのは確かです。
サンホワイトなどの安定性の高い『炭化水素油』は文字通り炭素と水素のみで構成されたオイルであり、不純物のない純粋な炭化水素油は分解されません。
不純物を含むものは別ですが、純粋であれば皮膚に塗って紫外線を浴びても酸化されないし、常在菌のエサにもならないので安全度が高いです。
ならスキンケアには炭化水素油や飽和脂肪酸一択なのか、というと、そうでもありません。
なぜなら硬いし肌馴染みが悪いから。
飽和脂肪酸の方が酸化しにくく安定しているからといえ、バターやラードをスキンケアに使おうという人はあまりいないと思います。
(ココナッツオイルなら多少いるようですが)
炭化水素油にしても保護・肌水分の蒸発を防ぐという被膜・密閉効果目的では、安定性の鬼であるサンホワイトは最強ですが、使い方を間違えれば汗腺や毛穴などをふさいで肌トラブルになることも。
それ以前に使用量を加減できなければテッカテカのベタベタになるので、単体では化粧品として決して使いやすいものではありません。
炭化水素油で唯一肌馴染みが良いのはスクワランオイル位ですね。
肌に含まれる『スクアレン』と類似しており、馴染みやすく扱いやすいオイルです。
油脂のメリット
一方油脂は不安定で酸化しやすく、酸化すれば体内や肌表面に有害な影響を与えることは確かですが、とはいえ身体の内部にも肌にも含まれており、必要不可欠な存在でもあります。
肌に過剰に与えすぎれば皮膚表面で酸化されることで刺激物を生じたり、皮膚常在菌のエサとなるので肌トラブルの影響にもなったりもしますが、なければないで困るのです。
それに油脂は共通する脂肪酸が皮脂にも含まれているだけあって、肌に浸透しやすく柔らかくする効果にも優れています。
炭化水素油は皮脂には含まれないので、肌には浸透しないし、スキンケア効果もありません。
あくまで保護するだけです。
油脂はたくさん使ったり、肌に残留したまま放置したり紫外線に当たったりするのは控えたい所ですが、うまく使うことで美肌効果が期待できます。
中間的なエステル類
エステル類は油脂と炭化水素油の中間的な特性ですが、炭化水素と違い皮脂にも含まれており、ワセリンのように毛穴を防ぐほどの密閉効果はないので使いやすいです。
同時に炭化水素油と同様、安定しているので肌への刺激も少な目。
合成のエステルは種類豊富で化粧品に良く使われています。
天然のエステルはホホバオイルやミツロウなど。
酸化しにくさ、安定性の高さから、日中の使用にも適しています。
まとめ
安定性は高いけれど保護効果にとどまる飽和脂肪酸や炭化水素油。
安定性は低く酸化リスクがあるけれど、肌になじみやすく柔らかくしてくれる不飽和脂肪酸多めの油脂。
そしてその中間的なエステル類。
どちらにしても、その働きと性質を理解したうえで、使う量やタイミング、用途で調整する、という事が大事ですね。
私もサンホワイトや無印良品のピュアオイルのシリーズなど、最小限で手ごろなアイテムに絞って使い分けるようにしています。
最終的にはこうした保湿オイルの力を借りなくても平気な肌を目指したいところですが、当面は外から補うオイルの力も借りつつ、乾燥する季節を乗り越えていきたいです。
それではまた。
今回の主な参考書籍
美肌成分事典
かずのすけ(著)白野実(著)
ビタミンE健康法 (健康基本知識シリーズ3)
三石巌(著)