健康

藤川先生の新刊『メガビタミン健康法』感想

今回は、ちょっと遅くなってしまいましたが、藤川徳美先生の新刊
『心と体を強くする!メガビタミン健康法』
の感想と、ざっくり解説でお送りします。

前著『医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる』に続く、質的栄養失調を改善するための基礎知識や具体的な手法が、更に詳しく解説された一冊です。

私自身にとっても前著はまさに、うつを始め質的栄養失調から来るあらゆる不調に対して、自力で改善するための手引書でしたが、今回は金森式(断糖高脂質食)を始めて以来、栄養の摂取バランスが大きく変わった影響で様々な不調が出たこともあり、その改善の助けとなりました。

『いま私が最も必要としていた本』といっても過言ではないので、藤川先生に大感謝です。

慢性的な不調や病気で悩んでいる人や、金森式(断糖高脂質食)でのケトフルーに悩まされている人など、多くの方におススメしたいと思います。

タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの各栄養素の役割や、必要な理由が分かる

この本では身体の基礎となるタンパク質、体内のあらゆる代謝に欠かせないビタミンやミネラルなどの栄養素が、

  • なぜ必要なのか
  • どのような働きをするのか
  • 不足するとどのような不調や病気があらわれるのか

といった基礎的で重要な知識が簡潔に、分かりやすい言葉でまとめられています。

例えば私が今実践している『金森式』(断糖高脂質食)においても、サプリで栄養素を補う事が重要視されているのですが…

断糖高脂質食と並行してナイアシンやマグネシウムなど様々な栄養素をサプリで補う事が推奨されていますが、もしそういった情報を最初からネットやSNSだけで収集しようとすると、断片的な情報ばかりになりがちです。

そういった断片的な情報だけでも、基礎知識のある人、理解する能力の高い人であれば問題ないのでしょうが、私のように元々基礎知識もなにもなかった人間にとってはかなりハードルが高いのですよね。

とはいえ、わかりにくいからと、苦労して蓄積した知識や情報を無償で提供してくれる発信者に不満を言うのはお門違いであり、理解して活用できるようになるための力を付けるかどうかは情報の受け手側の努力次第だというのが私の考えです。

未知の分野を学び始める際、最初は大きな壁に感じることもありますが、 分からないなら分からないなりに、優しい本などから始めるなど、いきなり難易度の高い所に手を出して挫折コースを辿らないように工夫すれば良いのです。

となると、いきなり高度な知識から怪しい知識までが断片的に飛び交うTwitterだけで、未知の分野を学ぼうとするのはかなりの無謀であることが分かります。

Twitterでも検索すれば過去の情報も出てくるとはいえ、断片的で基礎知識がないと理解できない情報が中心なので、個々の栄養素が『何故必要なのか、どういった役割をするのか、他の栄養素との関わり合いはどうなっているのか』など、全体像が見えにくいと思います。

結果、断片的な知識だけを頼りに、『とにかくこれを飲めば痩せるんだな』と、いきなり大量のナイアシンを飲み、激しいフラッシュでえらい目に遭う人などが現れたりするわけです。

ナイアシンなどは特に始め方や増やし方に注意が必要なサプリなので、余計なお世話でしょうが心配になるほど雑な導入をされている方も…。

また、今回の新刊や前著までに書かれた内容は、藤川先生のFB・ブログでも得られる内容が多いですが、やはりその記事数も情報量も膨大でかつ、分散しています。

いくら無料で読めるとはいえ、本で基礎知識を付けずにいきなりFB・ブログから入ると、理解するのに苦労するでしょう。

私自身、先生のブログはほぼ全記事読んでスマホのメモにも保存している位の変態ですが、それでも本は定期的に読み返すようにしています。

タンパク質が不足のままではサプリを大量に摂っても活用できず、不調の原因にも

もちろん、ビタミンやミネラルなどのサプリを摂ることは大事ですが、その前に最優先しなければならないのはタンパク質不足の解消です。

でもそこをすっ飛ばしてサプリをあれもこれも取り入れようとしたり、いきなりの断糖など極端な事をしたりして、体調を崩す人は少なくありません。

それが分かっているので、私自身友人知人に相談されてアドバイスしても、本を読むのを面倒くさがったり、プロテインを嫌がってサプリばかり買い集めようとする傾向が見られたりしたら、本人のためにもそれ以上アドバイスを続けるのは止めるようにしています。

タンパク質というと、イコール筋肉というイメージを持たれる方は多いですが、筋肉だけでなく血管も肌も内臓も髪も、体中のほとんどの組織がタンパク質を中心に作られていますし、体内で行われているあらゆる化学反応である『代謝』には、触媒となる『代謝酵素』が必須です。

その代謝の主酵素は他ならぬタンパク質でできています。

食べたものを消化するにも、そこから生命活動に必要なエネルギーを作り出すにも代謝酵素が必要なので、タンパク質が不足していればあらゆる代謝が滞り、不調が出るのは自然な流れです。

そして代謝の主酵素であるタンパク質の働きに更に必要なのが、ビタミンやミネラルなどの補酵素・補因子なので、肝心のタンパク質が不足のままメガビタミンを始めても、効果が出なかったり却って不調になったりと、本末転倒なことになってしまいます。

タンパク質不足をはじめとする質的栄養失調で様々な慢性的不調や持病を抱えておられる方はとても多いです。

症状は人によって様々なのは、タンパク質やビタミン、ミネラルなど何かしらの栄養が足りなくなると、それが遺伝的に弱い部分に不調として現れてくるから。

特に日本人女性は質的栄養失調の人が多いです。

生理がある間は鉄・タンパク質が不足しやすいし、妊娠・出産を経れば一度に大量に失います。

それを補う栄養素を食事で補うにも、男性ほどタンパク質量を摂れないし、欧米のように鉄分が食品に添加されているわけでもない。

更に精製された穀物や砂糖の過剰摂取により、ビタミンB群不足も慢性化しています。

そういった状態が酷い人がいきなり断糖をして高脂質食に切り替え、大量のサプリを飲み始めても、代謝に必要な栄養素が不足しているので体が適応できず、辛いケトフルーに長期間苦しむことになるのです。

最終的にはエネルギー源を脂質に切り替え、身体に悪い添加物なども完全に断つことを目標にするにしても、まずは今の身体の状態に足りない栄養を補わないと、先に進めません。

重度のタンパク質不足で質的栄養失調が酷い人は、添加物とか気にするよりも、とにかくプロテインを飲んでベースを整えるのが優先だと本の中でも強調されています。

私も未だにタンパク質不足の改善が一番の課題なので、今まで飲んできたサプリに加え、タンパク質の代謝に必要なB6脂質代謝に必要なB2を追加しつつも、タンパク質の頻回摂取やプロテインの活用を続けています。

どうしてビタミンはメガ量が必要なのか、人によって必要な量が違うのか

分子栄養学を提唱した三石巌先生は、栄養素の必要量に個人差があることについて、『確率的親和力』と名付け、主酵素を構成するタンパク質と、その働きを助ける補酵素がうまく組み合わさるかに、個人差があると説明されています。

同じ食事をしていても、ある人は健康なままで、ある人は特定の栄養素が不足して不調や病気になるという事は、歴史上の様々なエピソードにも見られます。

例えば日露戦争での陸軍では、白米中心の食事によるB1不足脚気患者・死者が大勢出たことで有名ですね。

日露戦争に参戦した兵員は約108万8000人。そのうち戦闘そのものによる死者が約4万6400人。

一方で戦病死者約は約3万7200人、そのうち脚気による死者は約2万7800人と言われています。(脚気患者は推定25万人)

参考資料https://www.wako.ac.jp/_static/page/university/images/_tz0716.b5706d4ad276df8bb8ffc5ce8c311f69.pdf

戦闘そのものによる死者数と比べても、脚気による死者数の多さに驚きますが、同時に病気にならなかった人も過半数以上いたことに驚きました。

軍隊のように大勢の人間がほぼ同じ食事を食べている環境下でも、健康なままの人、病気になる人、更に命を失う人と、これだけ個人差があるのです。

特定の栄養素に対して、主酵素との結合率の高い人は確率的親和力が高く、結合率の低い人は確率的親和力が低いことになります。

では、確率的親和力が低い人はその不利をどう補えば良いのかというと、量を摂って確率的親和力を上げるしかない。

だから『メガビタミン』が重要なのですね。

ちなみに確率的親和力については三石巌先生の著書のあちこちに詳しく書かれていますが、文庫で出ている『医者いらず、老いしらず』の終盤の記載が分かりやすかったです。

三石先生の著作もどれもおススメですが、まずは藤川先生の本で基礎知識を付け、その次に三石先生の本で順に読まれるのが、個人的にはおススメです。

今入手できる三石先生の著作の中では、祥伝社黄金文庫版が一般向けで気軽に読める内容が多いので、こちらから読み始めると入りやすいかなと思います。

阿部出版さんから刊行されている『健康自主管理システム』『健康基本知識シリーズ』は、基礎知識なしでいきなり読むにはハードルが高いかもしれません(私も苦戦してます…)。

がっつり学びたい人にはぜひチャレンジしてみて欲しいですが…。

分子栄養学のすすめ (健康自主管理システム1) 

まとめ

金森式を始めてTwitterなどで情報発信や交換をするようになり、自分だけでなく多くの人が慢性的な不調に悩まされている事を改めて実感するようになりました。

栄養や健康についての知識を身に付けていくことは、一生の武器になると思います。

ただ、Twitterひとつとっても、流れてくる情報は膨大で玉石混交。

情報の取捨選択能力を身に付けるためにも、本から基礎知識を、自分の土台を築きあげる事はとても重要です。

藤川先生の本は旧来の医療や栄養学の常識にとらわれず、実際に臨床においても多数の実績を上げられている手法を分かりやすく解説されているので、ぜひ前著とも合わせて読んでみて下さい。

それではまた。