健康

マイベスト健康本『すべての不調は自分で治せる』感想

こんにちは、みりりっこです。

今回はメンタル不調を含め、様々な慢性疾患に悩む人におススメな本の紹介です。

『すべての不調は自分で治せる』藤川徳美著

私自身、年齢的にも色々と、かなり色々と、健康上の悩みが増えてきた今日この頃。

元々健康オタクだったのに拍車がかかり、この1〜2年の間に何十冊も健康・医学系の本を読みまくってきたのですが、最終的に行き着いたベストがこの先生の本でした。

先に同じ著者の既刊も何冊か読んでいますが、この本は今現在の最新刊で、これまでの集大成+最新の情報を盛り込んだ内容でした。

他の著作もおすすめで、合わせて読むと更に理解が深まりますが、どれか一冊を選ぶとしたらこの本がベストかなと思います。

この本の著者は精神科医で、広島でご自身のクリニックを開業されている先生です。

その治療法は一般的な薬物療法とは大きく異なり、『分子栄養学』に基づいた栄養療法を用い、豊富な治療実績をあげられています。

この栄養療法はうつやパニック障害といった精神疾患にとどまらず、ADHDなどの発達障害、リウマチ、アトピー性皮膚炎、神経難病、がん、生活習慣病など、色々な病気に対して効果があるのだとか。

これまでの既刊やブログの影響力もものすごくて、精神疾患だけでなく、いろいろな慢性疾患に悩む人々から初診希望が殺到してしまい、今では近隣住民に限定しているそう。

これだけ聞くと、自分も受診したいなーって思う人も多いでしょう。

もしくは怪しい療法で人を集めているようで、ちょっと胡散臭い、と思うか。

でもこの先生の面白いところは、遠くから自分の病院をわざわざ受診する必要はないし、他の病院で栄養療法の相談をしても無駄だから、自分で学んで知識をつけて、自分で治すのが一番良いと主張している点です。

しかも自分の病院に患者が殺到するのを嫌がるだけでなく、本文やブログで勧めているサプリやプロテインもiHearbやAmazonで簡単に買えるものばかり。

(実際に先生のブログでは、暮れに患者が殺到して忙しすぎてうんざり、自分で治してくれ、みたいな本音丸出しすぎる愚痴が書かれていたりして面白いです。)

病院の患者にも初回だけはサプリを売るけど、後は自分で勝手に買ってね、というスタンスで、徹底して患者に対して医者に依存せず自立を促しているところに好感が持てます。

実際に先生の本やブログで勉強して栄養療法を実践して、自分や家族の精神疾患や子どもの発達障害を改善したという人も多いそうです。

では早速内容をざっくりご紹介していきます。

分子栄養学とは?

この先生が取り入れている栄養療法は、『分子栄養学』という聞き慣れない療法です。

ベースになっているのは物理学者の三石巌先生が確立した分子栄養学の理論と、アメリカのエイブラハム・ホッファー博士、ライナス・ポーリング博士らが確立したオーソモレキュラー理論です。

聞き慣れない名前が出てきた段階で、うわー難しそうってなりますが、ざっくり説明すると、こんな感じでしょうか。

  • 質的栄養失調があらゆる病気の原因である。
  • 身体に必要な栄養素を満たすことで病気が治る体になる。

この『質的栄養失調』というのはどういう状態かというと、

糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足

という状態だそう。

となると、真っ先に思い浮かぶのは、ジャンクフードやコンビニ弁当、インスタント食品ばかりといった明らかに質の悪い食生活。

でも『毎日自分は和食を中心にバランスよく食べているから大丈夫!』と思っている人も要注意で、その一般的に『バランスが良い』とされている食事でも、質的な栄養失調になっている人が多いのだとか。

中でも特に足りてないのはタンパク質

人間の体は水分を除けば70%がタンパク質で、常に合成と分解を繰り返しているので、人間にとって最も必要で、常に新しく供給し続けなくてはならない栄養素と言えます。

なんですが、一般的に『バランスが良い食事』とされている食事、例えばご飯に味噌汁、焼き魚に小鉢・・・みたいなメニューでは、タンパク質が少なすぎ、一方で不要な糖質の割合が大きすぎるのです。

こうしたタンパク質不足と糖質過剰が質的な栄養失調につながり、慢性疾患の原因になってしまうわけです。

反対にタンパク質を十分に供給することで、タンパク質が身体の悪い所を修復し、慢性疾患を治してくれるようになるのだとか。

この『タンパク質不足』が怖いのは、単純に筋肉が減っちゃうとか、そういうことだけではありません。

人が生きるために必須な生命活動である『代謝』に支障が出てしまうのです。

タンパク質不足など栄養状態が悪化すると、その人の遺伝子の弱い部分から作られた代謝酵素で『代謝異常』が生じ、その積み重ねが様々な病気の原因になってしまいます。

特に長年『バランスの良い食事』を続けてきた中高年で慢性疾患や体調不良を抱えている人の多くは、数十年単位でのタンパク質不足に陥っています。

特に日本人は欧米人に比べて肉を食べる量が少なく、基本的にタンパク質不足なので、まずはタンパク質をしっかり補い、更に必要な栄養を摂っていくことで慢性疾患から回復できる体を作ることが、この栄養療法のおもな流れになります。

分子栄養学を自分で取り入れるには?

『分子栄養学が重要なのは分かった。でも医師に頼らず自分で実践なんてできるのかな?』
と思いたくもなりますが、やることは凄くシンプルで、大きく分けて2つです。

  • 糖質を減らしてタンパク質を摂る
  • サプリメントでビタミン・ミネラルを補給する

これだけです。

ちなみに糖質制限はやるのが当たり前となってます。

なので糖質制限に関する基本知識については、他の本で補うことをおすすめします。

私は先に、江部康二先生宗田哲男先生山田悟先生など、スーパー糖質制限派からゆるい糖質制限派まで、一通り読んでいたので、この辺はすんなり受け入れられました。

糖質を減らしてタンパク質を摂る

私自身、糖質制限はすでに習慣になっていたので問題なかったのですが…

課題はタンパク質の摂取量

食事だけでは不十分なので、プロテインがどうやっても必須なのでした。

これまで、ダイエットにもプロテインは飲んだ方が良いと知っていながらも避けて通ってきましたが、この度、観念してプロテインデビューしました。

タンパク質は日々細胞の再生が繰り返される身体にとって、最も重要な栄養素。

タンパク質はDNAの指令を元に合成、分解、再生が繰り返されていて、この代謝が正常に保たれていることが健康な状態です。

でもタンパク質が不足すると、身体の中で使い古したアミノ酸を再利用することになるのですが、一度使われて分解されたものは質が劣化しているので、病気の原因になるのだとか。

このあたりの代謝の話は説明が難しくて、でも重要なので、ぜひ本を読んで欲しいと思います。

で、問題なのは食事だけで十分なたんぱく質を摂るのは難しいということ。

私は低温調理器のおかげで、以前よりも肉・たまご・魚を毎日がっつり食べるようになりました。

食べているつもりだったのですが…それでも体重×1gギリギリといったところでした。

というのも、良質なタンパク源の肉や卵でさえ、含まれるタンパク質は全重量の2割に届かないので、例えば毎日100gタンパク質を摂るとなると、少なくとも500g以上の肉や卵を食べないといけないのですよ。

卵だけならなんと16個分ですよ。
(卵一個のタンパク質→約6.2gとして)

しかも体重x1gというのは最低限のラインで、慢性疾患を改善していくには、体重x1.5~2gは欲しいところ。

食事だけで十分なタンパク質を摂るのは、男性はともかく女性にはかなりハードル高いのですよね。

日本人は特に女性はタンパク質が不足しているそう。

欧米人は日本人より沢山肉を食べるので、タンパク質不足はあまり問題視されてないそうなのですが、日本人はまずタンパク質不足を解消する必要があるんですね。

まずは卵と肉をしっかり食べたうえで、プロテインも20g×2回飲めるようになることが目標です。

けれどタンパク質不足が深刻な人は、この量も消化するのが困難なので、最初は少ない量から始めて慣らしていくのが良いのだとか。

特に糖質メインの食生活や、玄米採食を続けてきた人なんかは、かなりのタンパク質不足になっている人が多いそう。

普段から肉をがっつり食べている私ですら、初日〜3日目あたりまでは結構きつかったです。
一週間経ってからは楽に飲めるようになりましたが。

あとプロテイン飲むと結構お腹いっぱいになるので、その後の食事を食べ過ぎることが減ったのは嬉しい副産物でした。

ちなみにプロテインはホエイプロテイン一択です。

吸収の良さが、他のソイプロテインなんかに比べると断トツで良いので。

色々なメーカーがありますが、ホエイプロテインなら何でもOKだそう。

プロテインの効果は絶大で、元気になったり、疲れにくくなったり、ストレスに強くなったりと、効果を実感した患者がほとんどで、更にこの先生が受け持った、うつ病で休職した男性サラリーマンの患者さんの復職率は100%だとか。

恐るべし、プロテイン。

ジムで筋肉ムキムキの男性がデカいシェイカーを片手に、これ見よがしに飲んでいるイメージしかなかったのですが、ジムに行くどころでないような不調や慢性疾患に悩む老若男女こそが、むしろ飲むべきドリンクだったとは。

うーん、私もがんばって飲み続けようと思います…。
あんまり好きじゃないけど…。

メガビタミン~サプリメントでビタミン・ミネラルを補給する~

次のステップはメガビタミン。

メガビタミンとは、文字通りたくさんのビタミンを摂ることです。

でもサプリでの栄養補給に進むのは、きちんとタンパク質が足りている状態になってからで、タンパク質が不足しているのに色んなサプリを飲んでも効果が低いそう。

更に、タンパク質を満たして、次に必要なのは『鉄』

特に日本人女性は鉄不足でもあるということで、タンパク質+鉄は最優先課題なのですね。

この二つをしっかり満たしたうえで、メガビタミンを始めていきます。

具体的にはATP(生命活動を支えるエネルギーとなるもの)を増やすための基本のビタミン・ミネラルを摂った上で、必要に応じて慢性疾患の改善のために追加するサプリを選択していく流れになります。

ちなみにATPというのは『エネルギー通貨』とも呼ばれる人にとって超絶重要な物質です。

生体内のエネルギーの貯蔵、供給、運搬の仲介など、重要な働きをしていて、ATPがなくては生命活動が停止してしまいます。

このATPは食事で摂った糖や脂肪がもつエネルギーが分解・変換されてできるのですが、質的栄養失調によってエネルギー代謝がうまくいかなくなることで不足して不調や病気をもたらすと考えられています。

なぜ食事だけでなくサプリからも栄養を補う必要があるのかというと、このATPを生み出すエネルギー代謝には補酵素、補因子としてビタミンやミネラルが必要で、これらが不足すると代謝がスムーズに行かなくなってしまうからです。

でもって、必要とされる量を食事だけで摂るのは難しいので、サプリで補う必要があるというわけなんですね。

具体的に必要なサプリは鉄・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンEの4種類

さらに具体的な商品名や摂取量の目安や飲み方は、本を読んで頂けたらと思います。

実は私は、この本を読むまでプロテインが最優先だということをあまり理解していなかったので、早まってプロテインより先にサプリを飲み始めてました…。

順番が逆になってしまいましたが、結果的に一応2つのステップを実践できている感じです。

効果を実感できるようになるまでは、長期間継続する必要があるので、地道に続けていくつもりです。

行動する人だけが治療の入り口に立てる

先にも書きましたが、この本では、患者が自ら知識を身につけて、自分で行動して自分で治すことの重要さについても語られています。

更に言うと、『病院に行けば病気を治してもらえる』という考え自体が問題だということにまで触れられています。

病院の治療はあくまで対症療法が中心で、慢性疾患を根本的に治すことは難しいということです。

しかも多くの医師は栄養やビタミンについての知識がなく、専門分野の病気の対症療法についての知識がほとんどなので、栄養療法について相談すること自体が無意味だと切り捨てています。

むしろ今は必死に勉強している患者の方が知識があるし、自分で治療できてしまうので、知識のある人が知識のない一般の医者に相談するのはナンセンスとのこと。

必要な検査や当面の対症療法をうまく利用しつつも、根本的に治すために必要な栄養療法を自分で実践していくことが、治療への第一歩になるのだとか。

なかなか、とんがってますよね。

医者の立場でありながら、他の医者を敵に回しそうなくらい過激な考えですが、こういう考えが広まって、自分の健康を自分で守れる人が増えれば、膨らみ続ける日本の医療費問題もかなり改善されるんじゃないか、と思います。

巻末の方には様々な病気の症例集があって、治療前の症状がプロテインやメガビタミンで実際に治っていく様子がわかるので、背中を押してくれる感があります。

子供のADHDなどの症状についても豊富な症例があって、本も何冊か出ているので、お子さんの症状で悩んでいる親御さんにもおススメです。

本のボリュームはそれほどでもなく、軽く読めますが、内容がものすごく充実してまとまっているので、何となく不調だな~という人から、何かしら病気で悩んでいる人まで、一度は読んでみて欲しい一冊です。

それではまた~。